2009年9月24日木曜日

Strata "ストラータ" カリフォルニア・ナパヴァレー、メルロー 2002年 14.6%




■糖度とハイテクについて
洋画紳士:先日、銀座の写真ギャラリーで開催されていた作品展を見に行ってきたのですが、その時、近くにワインショップがあることに気が付いたので店内を見てきました。店員さんが、このカリフォルニア・ワインはいですよと勧めてくれたので、買ってみました。
酒豪先生: 「ストラータ」というのはイタリア語ですか?イタリア系の人が経営しているワイナリーなのかな。
洋画紳士:"Strata" という単語の響きから、ぼくもそう感じました。昔見た映画に『道』というのがあって、フェリーニの初期の作品ですが、原題が "La Strada" というのです。綴りも似ているし、カタカナで書けば濁音になるかどうかの差ですから、勘違いしてしまいました。
このワインの名前 "strata" は「地層」の意味をもつラテン語 "stratus" の複数形です。裏のラベルには、ワイナリーがあるナパヴァレーの土地の性質について書いてあります。ブドウ栽培に適した土地を象徴する言葉として「地層」を選んで名付けたのでしょうね。
酒豪先生:なるほど、いいワインを作るためにはいいブドウが必要で、いいブドウができるかどうかは畑で決まるといわれていますが、「地層」とはズバリ来ましたね。
南 海 子:口に含むと、ココアの味がします。カリフォルニア的というより、ボルドー風だと思いました。
酒豪先生:そう、ボルドーのいいワインの系列にある味で、ボルドーワインの持つ優しい甘さの感じがいいですね。
洋画紳士:評価が高いなあ。一本だけじゃなくもっと買っておけばよかった。
南 海 子:おいしいとは思うのですが、少し気になるのはこのワイン独特の甘さと、14.6%というアルコール度数の高さです。
洋画紳士:珍しいくらい高いですね。糖度の高い完熟ブドウを使っている証拠でしょう。
酒豪先生:14.6%は高いですね。カリフォルニアのワイン法では補糖(シャプタリゼーション)は禁止されているようですが、ヨーロッパの多くの国で補糖は合法だし、普通に行われているようです。
南 海 子:砂糖を加えるというのはいくら合法でも何か「作られている」という感じでいい気持ちはしません。
酒豪先生:別にこのワインが補糖によってアルコール度数を高くしていると言ってるわけではないですよ。あくまで一般論ですから・・・そして補糖の目的は甘いワインを作るためではないのです。
※カリフォルニア、オーストラリアなどでは補糖は禁止されているが、フランスでは合法である。
洋画紳士:房の数を厳選して、完熟したブドウからいいワインができるというのは事実でしょうが、現代のワイン製造はそういう正攻法だけではなさそうです。それに、ワインの原料としてのブドウを評価する場合、糖度は要素の一つに過ぎないと思います。数字というのは比較しやすいから便利ではありますが、いつの間にか一人歩きしがちですから、気をつけないと・・・
酒豪先生:補糖は人が手を加える方法としては伝統的なものです。現在では醸造工程だけでなく、ワイン製造の多くのプロセスにハイテクが採り入れられているようです。そのおかげでヴィンテージやテロワールの制約から解き放たれたのでしょう。つまり、醸造技術の向上によってワインの品質がよくなったことは間違いないのですから、私はハイテクに乾杯したいですね。
洋画紳士:ワイナリーごとに製法ノウハウは様々あるはずです。我々としては、これほどおいしいワインが比較的安価で買えるのですから、大いに楽しませていただきましょうよ・・・酒豪先生、もう一杯いかがですか?
■評価
南 海 子:4.5
酒豪先生:4.5
洋画紳士:4