2009年8月30日日曜日

コノスル 20バレル(ピノノワール 14%、ソーヴィニヨン・ブラン 13.5%)2007




洋画紳士:チリのハイ・コスト/パフォーマンス・ワインの代表格CONO SUR(コノスル)は、商品ラインアップをグレード別に3つに分けている(有機栽培を入れると4つ)。最上級には"OCIO" があるようですが、これは入荷数が少なすぎて私はまだ見たこともないので、普通に買える商品で一番上の20バレルを飲んでみましょう。20バレル・シリーズには他にもシャルドネ、メルロー、カベルネソーヴィニヨンがありますが、一度には飲めないので、差当たりピノノワール、ソーヴィニヨン・ブランから始めます。
酒豪先生:分かりました。メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどはボルドー系との比較ということで後日、対決させてみてもいいですね。
南 海 子:私はこのソーヴィニヨン・ブランは香りもいいし、口に含むと草原の香りがして、好きな味です。
洋画紳士:白というとシャルドネばかりがスター扱いされるけど、シャルドネがいつも最高というわけではないし、ここまで高品質で味がいいと「隅には置けない」という感じです。
酒豪先生:そう、舌先にフルーツ味を感じますね。おいしい。チリ・ワインはコノスルに限らず、本当にコスト/パフォーマンスが高い。もし、ブランド作りがうまくいけばカリフォルニアのスター・ワイナリーみたいになるかもしれない。
南 海 子:そうなる前にまとめ買いしておきましょうか。
洋画紳士:さて、20バレル・シリーズはその名の通り、毎年そのブドウ種(セパージュ)ごとに20樽しか作らないという限定版なのです。
南 海 子:20バレルのラベルはごくシンプルな白地ですが、他のグレードのラベルには、どういうわけか自転車の絵が描かれているでしょう。あれには何か意味があるの?
洋画紳士:ぼくが想像するに、この会社は環境問題に意識的になっているようです。カーボンニュートラルといって、二酸化炭素の排出と吸収とが同等になるよう工夫していて、たとえば従業員が畑に出かける時には自転車を使っているようです。だから、環境を意識した活動の象徴としてラベルに自転車を描いたのだと思います。
南 海 子:そうですか。じゃあ、コノスルというのは自転車のこと?
洋画紳士:いえ、自転車はビシクレータ(bicicleta)。社名の由来は、南米大陸が円錐形(CONO)をしていて、そこの南側(SUR)に会社があるためにコノスルとしたようです。
南 海 子:ヴィクトル・エリセ監督の作品に「エル・スール」というのがありましたが・・
洋画紳士:"El Sur" というのは「南」という意味です。
南 海 子:「エル・スール」では大した事件が起きるわけではないけれど(父親の死は示唆されるだけで、画面上に表現されるわけではない)少女の感性を映像化したような不思議な映画でした。
洋画紳士:地味ながら粘り強い演出でしたね。ああいう作家性の強い映画は貴重です。
酒豪先生:さて、洋画先生らしい薀蓄は結構ですが、言葉についての前置きが長すぎますね。スペイン語の勉強会ではないので、しっかりと本題の試飲をしましょう。ぼくはこのピノノワールもいいと思う。
南 海 子:洋画紳士はいつも脱線ばっかり。映画だとか音楽、絵画と連想の範囲が広すぎますよ。試飲会なんですからちゃんとワインのことを話してください。
話をワインに戻せば、このワインはブドウ種がブルゴーニュのセパージュと違っているのか、色も濃い目だし、風味も違いますね。でも、ピノノワールにしては「梅の甘味」を強く感じます。いいワインですね。
洋画紳士:同じ品種でも気候風土が異なれば当然、できるブドウも変わってくるはずで、チリでブルゴーニュと同じだったらむしろおかしい。新世界ワインにはブルゴーニュとは別の価値を認めるべきでしょう。このピノは舌に乗った時、滑らかさを感じます。それに味に深みがあるので口の中にある時も、舌や上口蓋を通る時も、また飲み込んだ後の味まで、何度も楽しめます。
酒豪先生:昔、アーモンド・グリコは「一粒で二度おいしい」というCMを使って大ヒットしましたが、このピノは一口で三度おいしい、というわけですか。
南 海 子:アロマも入れたら、四度ですよ。

洋画紳士:
栓のことですが、コノスルはスクリューキャップの採用も早かったようですが、ソーヴィニヨン・ブランはスクリューキャップ、ピノノワールは天然コルク栓です。
酒豪先生:こういう使い分けは何を基準にしているのかな?
南 海 子:最近は新世界ワインに慣れてきたので、どっちでも気にならなくなってきました。
洋画紳士:思いつきですが、ピノノワールはある程度の保存期間を想定して天然コルクに、ソーヴィニヨン・ブランは一年以内に飲むだろうということで扱いやすいスクリューキャップにしたのではないですか。
南 海 子:たぶんそうでしょうね。

洋画紳士:
ところで、20バレルは20樽限定ということで、ラベルには一本一本ナンバリングが打ってあり、その数を保証しているようです。でも、いま気が付いたことですが、ソーヴィニヨン・ブランは17322、ピノノワールは22851となっています。20樽にしては数が多すぎるようですが。
酒豪先生:ボルドーの樽は225リットルですから、750ml瓶に詰めるなら300本くらいです。300本×20樽=6000本ということになりますが、2万本を越すというのはどういうことでしょうね。
南 海 子:巨大な樽というのがあるのかしら・・・
洋画紳士:一樽で1000本だとしても20樽で2万本・・・・・2万本を越すというのは計算が合わない。それともバレルというのは熟成用のオーク樽のことではなくて、ステンレス・タンクのことを指しているのかもしれない・・・
酒豪先生:ナンバリングの基準が他にあるのかもしれないですね。その問題はさておき、品質でいえば上等ですよ。フランスどころかカリフォルニアでもこの品質だったら二倍以上の金額でないと手に入りませんから、チリ・ワインの実力の証明みたいなワインですね。

■評価(ソーヴィニヨン・ブラン)
南 海 子:4.5
酒豪先生:4
洋画紳士:4.5

■評価(ピノノワール)
南 海 子:4
酒豪先生:4
洋画紳士:4

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