2009年12月4日金曜日

Vergelegen フィルハーレヘン・カベルネソーヴィニヨン 2005 14.5%





















■南アフリカ・ワイン讃

洋画紳士:これまで南北アメリカ大陸のワインを中心に試飲してきましたが、今回は趣向を変えて、南アフリカ・ワインに挑戦してみましょう。

南 海 子:南アフリカと聞くと一瞬、暑い地域と思ってしまいますが、考えてみたら南に行くほど南極に近くなるわけですから、暑いとは限らないわけですよね。

酒豪先生:そう、北半球に住んでいる人間にとっては南北逆っていうのは分かりにくい。しかも、ケープタウン周辺の南緯は34°くらいですから、これは北緯にすればモロッコのカサブランカとかジブラルタルくらいではないですか。もちろん気候は緯度だけで決まるわけではありませんが、南アフリカの位置(地理的にも歴史的、政治的にも)を見直さなくてはなりませんね。

洋画紳士:南米の人から聞いたのですが、南半球ではクリスマスは夏なので、サンタクロースは水着でサーフィンに乗ってやって来るそうです。

南 海 子:赤い防寒着を着たサンタさんじゃないんだ・・・。

洋画紳士:また「新世界」という言葉で一括りにしてしまいがちですが、南アフリカではワイン生産の歴史が長いので、あまり新世界扱いしてはいけないのかもしれないですね。今回のフィルハーレヘンはオランダ系のワイナリーで、ラベルによると1700年設立となっているので実は300余年の歴史があるようなのです。

南 海 子:南アフリカのどこにブドウ畑があるのですか?

酒豪先生:ケープタウンという岬を基点にしてL字型にブドウ畑が広がっているようです。

洋画紳士:さて、なぜ私がこのフィルハーレヘンというワインを知ったかというと、あるワインショップからのメールが発端でした。そのセールスメールは面白い書き方をしてあって、フィルハーレヘンの2001年ものがワイン評論家のJ. ロビンソン女史から高い評価を得たというのです。2001年ヴィンテージの赤ワインをブラインド・テイストした結果、フランスの名門やカリフォルニアのカルト・ワインを抑えて堂々の一位だったというものでした。ネームヴァリューや値段からは考えられない結果で、もしそれが事実だったらまるで1976年のパリ事件の(形を変えた)再現ではありませんか。

南 海 子:そのテイスティングは彼女一人が鑑定したのでしょうか。

洋画紳士:どうやらそうらしいですね。この点、やや個人の嗜好が強すぎてパリ事件ほどの説得力はないかもしれません。パリ事件では9人の鑑定家は全員がフランス人の大御所たちでしたから、フランス・ワイン界は面目丸潰れになったのです。

今回、私が疑問に思ったのは、そのテイスティングは2001年ヴィンテージの鑑定でしたが、実際に販売されるのは2005年ものだったことです。同じ畑から獲れたブドウであってもヴィンテージが違っていれば評価は別ということになりそうですが、値段が4000円ほどだったので、ひとつ話の種にでも買ってみようと思い、二本注文したのです。

酒豪先生:そのセールスメールはなかなかの高等戦術を使っていますね。2001年ものに関する高名な評論家の鑑定結果を事実として掲載し、それをエサに2005年ものを売るというのは上手だな。

洋画紳士:そうですね。しかし、考えてみたらフランスの名門ワインだってそうじゃありませんか。名門という(あるいは格付け)過去の栄光がずっと続いているかのようなイメージ(「錯覚」とまではいいませんが)を前面に出して強気の商売をしているのですから。消費者も名門のネームヴァリューやブランドには無批判に屈しているように思えます。

南 海 子:ブランド論議はさておき、2005年ものについてはロビンソン女史は何も語っていないのですから、私たちで「鑑定」してみましょう。


酒豪先生:くっきりした香りを感じますね。味に独特の甘さがある。つまり、おいしいということですが。

南 海 子:飲んだ後、口の中に青草の香りが残っています。

酒豪先生:そう、飲んだ後も口の中に味の余韻が続いているという感じ・・・濃いということでしょうね。黒砂糖の味わいがある。このワインの一番いい点は香りの豊かさです。

洋画紳士:コルクに染みたワインの香りはカカオっぽいですね。また口に含むと舌先ではやや酸味を感じました。その後、舌の上を滑っていくような滑らかさがあります。

酒豪先生:ロビンソン女史が一位に選んだ2001年ものはどうだったんでしょうね。並居る超一流ワインより評価が高かったとしたら、この2005年よりも出来がよかったと推測されるのですが・・・

洋画紳士:分かりませんね、飲み比べてみないことには・・・しかし、この2005年もかなりの味で、私は満足ですし、コスト/パフォーマンスもいいほうです。4000円クラスという価格帯でありながら高価なワインと勝負したのですから、これが水準以上なのは間違いないでしょう。

南 海 子:話は変わりますが、私が最近飲んだ南アフリカ・ワインは数百円のテーブルワインでしたが、まあまあ納得のいく味だった事を考え合わせると、南アフリカ産の実力はたいしたものです。これからワイン選びする時のターゲットが広がりました。

■評価

南 海 子:4.5

酒豪先生:4.5

洋画紳士:4.5

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