2011年1月13日木曜日

Opus One オーパス・ワン 2005 14%







■カリフォルニア・ワインの最高峰に挑む
洋画紳士:今回はカリフォルニア・ワインの傑作として名高い "Opus One" です。
南 海 子:ラベルに二人の横顔が描かれていますが、これはロールシャッハ・テストですか。
酒豪先生:南海子さんも洋画紳士みたいな冗談を言うようになりましたね。この二人はロバート・モンダヴィとフィリップ・ロートシルト男爵です。ラベルの下の方には二人のサインも入っています。
洋画紳士:オーパス・ワンは彼らのジョイント・ヴェンチャーとして造られたワインです。肖像とサインは、このワインについては自分たちの名誉にかけて保証するということでしょうね。カリフォルニアの最上のブドウとムートンのノウハウとの幸福な結びつきの証なんですよ。
酒豪先生:裏のラベルには、「OPUS およびOPUS ONE、横顔のシルエット・デザインは登録商標である」と書かれています。つまり、他のワイナリはOPUS TWO, OPUS THREE などを商標に使うことは出来ないわけです。
南 海 子:「オーパス・ワン」の名前の由来は?
洋画紳士:"opus" というのは「仕事」、「作品」という意味のラテン語で、「オーパス・ワン」は「作品1」ということです。これは音楽だけには限らないのですが、たとえばベートーヴェンのピアノソナタ 第23番「熱情」はOpus 57 ですし、交響曲 第5番「運命」は Opus 67です。どうやら彼らは音楽好きなのでしょう、オーパス・ワンのセカンド・ワインには "Overture" 「序曲」と名付けているほどですから。
酒豪先生:そもそも、この安いとはいえないワインを買ってみようと思ったのは、先日所要で銀座に行った帰り、新橋に向って歩いている時に、小さなワイン・バーがあることに気がついて入ってみたんです。
南 海 子:そのバーはほんとに小さなお店で、もともとは酒屋さんだったらしい。何しろ銀座にはお酒を飲ませるところは居酒屋から超高級バーまで数え切れないくらいあるはずですから、配達だけで営業できるのでしょう。小さな空間をワインバーにして改造して、カウンターでグラスワインを飲めるようにしてあったのです。
酒豪先生:そこで飲んだオーパス・ワンがよかった。このカリフォルニア・ワインの名前は聞いたことはあったのですが、これほどの完成度に達しているとは思っていなかったのです。
洋画紳士:どんな味だったのですか?
酒豪先生:味を言葉で表現するのは難しい・・・ぼくが思ったは、ブドウから作られた最も完成度の高い酒の一つだということでした。
洋画紳士:「の一つ」という言い方に含みがありそうですね。
酒豪先生:そうです。酒を評価する時に「最高」とか「究極」とかいう言葉は使うものではない、と思います。というのは、飲む方の嗜好や経験の質・量、そしてその時の気分や体調などの要素が複雑に絡み合っているのですから、簡単には言えない。飲んだその時、ある感想を持つというだけなんです。
南 海 子:銀座では、ちょっとしたおつまみだけで飲んだので、食中酒としてのワインを、しかもこれほどの高級ワインを語るにはお膳立てがちょっとカンタン過ぎました。

洋画紳士:なるほど、では今夜、銀座での経験が再現できるかどうか・・・・飲んでみましょうか。
酒豪先生:口に含んで、香りが上顎から鼻に抜ける時に感じる風味がいい。ある強さがあって、口の中の粘膜に沁みこんでいくようです。
南 海 子:香りが印象的ですね。深みがあって本格的です。今でも完成度の高さは分りますが、2005年物ですからあと数年熟成させたらもっとよくなったかもしれません。
洋画紳士:私がいつも参照しているH. ジョンソンのワイン・ハンドブックには「本家のムートンも油断なきように」と書かれています。
南 海 子:その言い方も面白いですね。いいワインだけれど、ムートンにはまだ比肩できていない。しかし油断していたら追い越されてしまうよ、というニュアンスが込められているように感じました。
酒豪先生:オーパス・ワンのワイナリはナパの北側に位置するオークヴィルにあり、モンダヴィの畑の斜向かいです。この辺りは最上のカベルネが実るといわれている地域ですが、オーパス・ワンのブドウはトカロン畑(To Kalon Vineyard)で収穫されたものだそうです。使われているブドウはカベルネソーヴィニヨンが主ですが、単一品種ではなく、ボルドーの流儀でメルロやカベルネフラン、マルベックなどのブレンドのようです。具体的な品種についてはラベルには記載されていませんが・・・
洋画紳士:私は一級ワインで飲んだことのあるのはムートンだけですが、オーパス・ワンの方が好きだな。「力」を感じますし、素直においしいと思えますから。
南 海 子:やはり洋画紳士は新世界ワイン好きなんですよ。

■評価
南 海 子:4
酒豪先生:4.5
洋画紳士:4.5

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